[00:15.060]それは晴れた昼下がりのありふれた出来事 [00:22.200]図工の授業で風景画を描いていたときの出来事 [00:29.500]「この色キャンディみたいだね」と誰かが笑った [00:36.840]「ほんとだ、絵の具じゃないみたいだね」と別の誰かも笑った [00:43.700]その筆は僕の口元に差し出され [00:50.960]「ほら舐めてみろよ」と女は笑った [00:57.820]抗うよりも応じる方が痛くされないと [01:04.600]僕は知ってた 僕は知ってた [01:12.060]強かな人になろうと誓った [01:16.340]誰にも期待などしなかった [01:19.930]あの人たちが正しいなら [01:23.540]僕は世界でも敵に回そう [01:27.190]愛はどんな味でしょうか? [01:30.760]友情はどんな形でしょうか? [01:34.360]毎日のように差し出された [01:38.110]キャンディの味を僕は忘れない [01:54.820]それは雨が降り出した夕暮れ時の出来事 [02:01.720]下校中大切にしていた傘を開いたときの出来事 [02:08.970]雨の日も楽しめるようにと母が買ってくれた [02:16.100]大好きなキャラクターが大きくプリントされた傘 [02:23.090]木の枝で叩かれていくつも穴があいてた [02:30.280]「この方がお前によく似合う」と笑われた [02:37.210]それ以上傷つけられるのを見ていたくなくて [02:43.890]僕も笑った 僕も笑った [02:51.260]憎しみの色に染まらないように [02:55.620]馬鹿な大人にならないように [02:59.170]あの人たちが何をしても [03:02.810]やり返すことだけはしなかった [03:06.420]川辺の土に傘は埋めた [03:10.010]落として流されたことにした [03:13.570]毎日のように空想の出来事を [03:18.720]家族に話しては笑っていた