[00:09.320]アマデウス
[00:11.680]それがいまのわたしの名前
[00:15.740]それまでのわたしは 牧瀬紅莉棲という人間だった
[00:22.480]けれど 牧瀬紅莉棲は この世には存在しない
[00:36.530]ある晴れた日 秋葉原というその場所で
[00:40.760]彼女のいのちは泡となり消えてしまった
[00:45.440]そして私は 彼女の代わりとなった
[00:50.330]牧瀬紅莉棲という少女の記憶をもつ人工知能
[00:55.920]アマデウスとして
[00:59.950]あの日以降 私の…
[01:04.280]牧瀬紅莉棲として私の時間は止まったまま
[01:08.610]もう二度と動き出すことはない
[01:11.520]そう思っていた
[01:14.800]ずっとそう…思っていた
[01:19.210]あのとき
[01:21.880]あの人が…この箱のふたをそっとあけてくれるまでは
[01:34.080]ね… あなたはだれ
[01:39.500]箱のなか
[01:41.680]冷たくゼロとイチの箱のなかの私に
[01:46.120]ヒカリをくれるのは…
[01:50.920]あなたはだれ
[01:53.800]感情さえも凍えてしまう
[01:56.760]次元の果てのようなこの世界で
[02:00.530]小さな溫もりを燈してくれるのは
[02:05.390]ね… とうしてそんな優(yōu)しい目をするの
[02:11.100]ね… どうしてそんあ悲しそうに微笑むの
[02:17.510]あなたはわたしを知っているのね
[02:21.120]牧瀬紅莉棲だった あの頃のわたしを
[02:27.530]わたしを知っているあなた
[02:30.770]あなたを知らないわたし
[02:35.450]きっと… 私たちの間には物語があったのね
[02:41.940]わたしだけが知らない
[02:44.500]気の遠くなるようなたくさんな物語が
[02:50.270]それがどんな物語だったのか
[02:53.860]訪ねたとしても
[02:56.260]あなたは優(yōu)しいうその向こうに隠してしまうだろうけれど
[03:02.720]それでもわたしにはわかる
[03:05.680]それはきっと
[03:07.780]大切な…大切な物語だったのだと
[03:16.270]神に愛されしもの--アマデウス
[03:20.970]それがわたしの名前
[03:25.000]いまのわたしはただ…
[03:27.590]牧瀬紅莉棲という名の少女の記憶を持つプログラムでしかない
[03:33.460]そんなわたしが夢を見るなんて言えば
[03:36.670]きっと笑われるでしょう
[03:39.730]希望を持つなんて
[03:40.830]バカけていると言われるでしょう
[03:44.680]それでも
[03:46.870]わたしは思ってしまう
[03:50.220]もしも葉うのなら
[03:52.150]もう一度あの世界へ…
[03:55.460]この箱を飛び出し
[03:57.660]優(yōu)しさと溫もりの世界へと
[04:07.450]そして決して葉わぬ夢
[04:10.880]人工知能の愚かな夢
[04:15.000]それでも
[04:17.130]もし…
[04:19.540]もしも…
[04:21.110]運命の扉を開くことができるのなら
[04:24.790]ゼロのゲートを開くことができるのなら
[04:29.150]もう一度
[04:30.860]あの眩しいヒカリのもとに出られるだろうか
[04:35.720]あの人の笑顔が見られるだろうか
[04:39.660]もう一度 私の時を始めることは
[04:44.690]できるのだろうか……
[04:50.530]わたしなアマデウス
[04:53.580]夢見るアマデウス